2018/03/24

早まったD【笑わない、そして決められない男が決断した】


こんなふうに笑わない男・Dについて綴っていると、そもそもどうして仲介人となった友達・K介は、私にDを紹介したりしたのだろうと考えてしまう。

Dが笑わない男だと知っていたのなら、K介の罪は軽くはない。

なぜならK介は私にこう言ったからだ「友っちにピッタリの人がいるよ!ぜひ紹介したいから・・・」

ピッタリ?私が笑わない男・Dにピッタリ?

どこが?なにが?冗談じゃない。

たぶんK介は、私とDが並んだ感じがピッタリだと思ったのだろう。

私はかなりの長身で、Dもなかなかの長身だ。

そしてK介は低身長で、いつも自分が背が低いことを気にしていた。彼はまちがいなく高身長である男に憧れを抱いていて、高身長=いい男の条件だと思い込んでいた。

ちがうよK介!身長なんてたいして重要じゃないよ。とくにね、長身の女性が長身の男性を求めてるなんてたんなる思い込み。長身の女性は自分と同じか、自分よりちょっと小柄な人といるほうが落ち着くってこともあるんだよ。

そんなふうにK介を説得しようとしても、K介は私の言っていることを理解しても、受け入れることはできなかっただろう。

彼の身長コンプレックスは今にはじまったことじゃない。かなり根が深いと思われた。




しかしK介をうらむわけにはいかない。Dに告白されたとき、オーケーと言ったのは私自身だ。強制されたわけじゃない。完全に自由に自分で決めたのだ。

(だけどもし文学的な表現が許されるなら、「私は孤独に強制された」と言いたい。Dと付き合いたいわけではなく、孤独、ないし静寂から逃れたかっただけなのだから)

よく考えれば考えるほど、Dと付き合うことになった流れ、そして付き合ってからの日々はおかしいことだらけだ。

私はDと接している間、いったいなにを考えていたのだろう?いや、ちがう。私はいったいなにを考えていなかったのだろう?

Dとの間に明るい未来なんてあるわけがない。そのことをどうしてもっと重要視しなかったのだろう。

それは直感でDと初対面のとき感じ取ったことだ。「こんなふうに人の目も見ず、ニコリともせず、タバコばかりふかしているやつなんて絶対にイヤだ」

それは正しかった。直感がすべてだった。動物の本能として「追い払え!」と脳が指令していた。それなのに・・・。

『自負と偏見』を読んだことがあったからか・・・。

ストーリーのどんでん返しをひそかに期待していたからか・・・。




ここからはこれまで語らなかった笑わない男・Dの失態(まだあるんです)。ちょっとホラーに近い話をしていこうと思う。

友達K介からDを紹介されたとき、三人で海外旅行の話になった。

Dは社員旅行でセブ島に行ったことがあると話した。

私もセブ島に行ったことがあった。

仲介人のK介だけ行ったことがなかった。

K介が「セブ島行ってみたい」と言い出し、私もつられるように「セブ島また行きたいな」と言った。

そのことをDはしっかり覚えてたみたいで、次に二人だけで会うことになったとき、いきなり勝手に決断した

正確には、Dはある決断をしてから私たちの最初のデートに乗り込んできた。

Dはバーの席に着くなり、こう切り出したのだ。

D「こないだセブ島にまた行きたいって言ってたけど、今度一緒に行かない?」

私「ああ、覚えてたんだ。え、一緒に?K介も?」

D「いや、二人で」

私「・・・(はぁ?まだ付き合ってないぜ)」

D「飛行機代は出すよ」

私「・・・(はぁぁ?まだ二人で電車にも乗ってないぜ)」

D「とりあえず、早めに予約したほうが安くなるから」

私「早くっていつ?」

Dは具体的な日にちを言った。それは10日後だった。10日後に予約・・・。10日以内に行くか行かないか決めろってことだ。

バカか?誰が会って2回目の男と海外に行くんだ?

詐欺か?犯罪か?私はフィリピンで殺されるのか?

そんな話をするなんて信じられないと思った。

確かに「セブ島にまた行きたい」とは言ったが、それはその場の雰囲気を考えてなんとなく言っただけだとおまえは考えなかったのか?

酔って言っただけ、相づちのつもりで言っただけという可能性を、おまえの脳は疑わなかったのか?

セブ島の話を二人の共通の話題として、会うたびに徐々に深めていって、「ああ、どうしてもまた行きたいな」と私に思わせてから、誘うことはできなかったのか?

もし行き先がディズニーランドくらいならいいだろう。(水着になることにかなり抵抗はあるものの)サマーランドくらいならまだ鼻先で笑えただろう。高尾山(都内)くらいだったら明るく断ることができただろう。

いずれにしろ日帰りなら少しは考える余地があった。いや、国内ならひとまず大人の男の発言として受け止めただろう。

しかしDが誘ったのはセブ島だ。海外だ。もちろん日帰りではない。

おまえみたいな男とどこにどうやって泊まれというんだ?まだ会って2回だぜ?まだおまえは私の目をちゃんと正面から一度も見たことがないっていうのに!

部屋は別々?男子はこっちで女子はこっちの部屋。子どもか?

いや~分からん。なにを考えてるのかさっぱり分からん。

それともあれか?「俺たち会うなり気が合ったことだし、このノリでラスベガスに行っちゃおうぜ。イェ~イ」的なやつか?

もしくは「君と素敵なところへ冒険したいから、今すぐ一緒にモナコへ行かないか?ベイビ~」的なやつか?

それならそれも悪くない・・・(!!??)。





私はそのとき、Dが言ったことを聞かなかったことにして、立て続けにマティーニを飲んでいた。

カクテルグラスの中でオリーブの実が、「ロマンチックな男じゃない。ふふふ」と私をからかっているようだった。

私は確か返事として「来年ね~」とかテキトーなことを言ってはぐらかした記憶がかすかにある。

私の反応を見て、Dは自分の失態に気づいたのだろう。

そのあとバッグからごそごそとなにか取り出し、名古屋に出張に行ったときのおみやげだと言ってくれた。

そこで場面は完全に切り替わった。

Dはセブ島の話は二度としなかった。

「セブ島に行ったことがある」という唯一の共通の話題を失い、Dはますます寡黙になっていった。



続きを読む:『笑う女』


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『笑わない男』

『笑わない男は希望?それとも絶望?』

『笑わない男が笑った瞬間』

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