2017/09/27

給食の思い出~まるたけチーズ工場~


どうしてそうしていたのか分からない。またどうしてそんなことを克明に記憶しているのかも分からない。


なんとも貧乏くさいことなのだが、子どもらしいといえば子どもらしい。


小学校の給食のとき、ちょっとしたこだわりというか、食べることとは別の楽しみがあった。


給食に出されるアーモンド入りチーズはうすい長方形で、アルミに包まれているのだが、その上面にパッケージとして花の写真が印刷された紙が貼ってあった。


花の種類は5種類くらいあって、私はいつも「すずらん」を好んで選んでいた。


そのチーズを配る給食当番の子に自ら近づいていき、「わたし、すずらん!」と強引にねだることもあった。


「すずらん」をゲットして、その紙の部分だけきれいに剥がし、机の道具箱の中に入れて貯めていた。


貯めてどうしていたというわけじゃない。ただ道具箱の中を「すずらん」でいっぱいにしたかったのだろう。


同じようなことをしていた子が他にいたかは分からない。


ただ私の「すずらん集め」よりももっと楽しいことをやっているやつを見つけた。


3年生のとき隣の席になったまるたけだ。


まるたけは小学校入学とともに学業をすべて放棄した、ある意味でスーパースターだった。


凶暴性はなく、そのおバカキャラでクラスのみんなから愛されていた。








そのまるたけが給食の時間になにをしていたかというと、チーズのラベルではなく、チーズそのものを保管していた。


ストローに刺して。








チーズの表面に牛乳用の細いストローをなんどもなんども刺して、チーズ入りストローを制作していたのだ。


私は授業中、ときどきまるたけに小声で話しかけた。


「チーズの調子はどう?順調にくさってる?」


私の声音、それに答えるまるたけの声音にも、朝恋人たちが目覚めたときによく眠れたかどうか尋ね合うときのような優しさと甘さとがあった。


まるたけ「まあまあだよ。もう少しでいいかんじになる」


のちに異臭騒ぎを起こし、まるたけチーズ工場は閉鎖された。












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