2017/05/18

アリギリス~私とキリ子さん2017~ 第2話



キリ子さんはリフレッシュ期間に入る前、旅行についてはなにも言及していなかった。

「このまま消えるかも~。ふふふ」とやけにニヤついていたので、 てっきり婚活に専念し、どうにかこうにか決着をつけるつもりでいるのだと思っていた。出会い系アプリも質のいいもの(高額プラン)に変えたと言っていたし。

 香港なんかで遊んでる場合か?

 写真にちょこちょこ写りこんでいるM字ハゲはいったい誰なのか?たぶんボディーガード的な人なんだろう。彼氏さんは松山ケンイチ似のイケメンだったはず。あ、でもその人とは結婚する気はないらしいんだけど。

 あぁ、まったく・・・。

 結婚後のことを考えたら、少しでも蓄えを増やしておきたいだろうに。稼ぎは私よりはるかにいいだろうけど。まぁ、少なく見積もっても基本給だけで35万は軽く超えているはずだ。飛び込み営業したり、取引先の100人くらいの社員の前でプレゼンしたり、本社のある名古屋へ月1くらいで出張も行ったりしてるもん。億の契約を取ってきたときはうちの支店で初めて社長賞なるものをもらって表彰されていた。ちなみに私は時給制契約社員で、おそらく手取り彼女の1/3くらいしかもらっていない。

 でもこれだけは自信がある。私はキリ子さんよりはるかに多くの貯金がある。彼女は毎度あいさつのように「あたし全然貯金な~い。やば~い」と言っている。ウソじゃないっぽい。一緒にいて分かる、この人ホントお金使いすぎ。お金をばらまきながら歩いている。実際、コンビニに入るような感覚でトレンドのスーツ店に入り、彼女の欲するところの“ちょっと簡単に羽織れるかんじのジャケット”を試着もせずに買おうとしたときは歳上とはいえ思わず叱りたくなった。

 しかしそれがまぁキリ子さんの生き方なのだから私がどうこう言うことじゃない。

 貯金ゼロでも彼女がいいならそれでいい。おそらく結婚後の資金のすべては未来の夫しだい。そんなふうに考えているのだろう。

 ありうる。

 自分ですんげぇ稼いでるくせに!

 そうそう、 男が金出して当たり前みたいなことをよく言うんだ、この人は。デートでお金出したことないんじゃないかな。財布も持っていかなそう。そりゃやべぇべ。今どきそんな女いねぇべな。

 というか、彼女は男性すべてを小バカにしているところは少なからずある。「男?ぷ、笑える」みたいな。もちろんベッカムとかは別として。

 ん、要するに、そんなんだから結婚できないのではないでしょうか??

 共に生きる、というかんじじゃなく、旦那があたしに尽くすべき、なぜなら私は女王様であんたは下僕にすぎないんだから、みたいなかんじなんではないでしょか?

 いやいや 恐ろしくて聞けやしない。

 そんなことを思いながら、悪女のいないオフィスで半死状態、ないし発狂寸前で仕事をしていると、またLINEが来た。

「マカオのカジノ。トイレで~す」







第1話にもどる

第3話にすすむ





ジェーン・スーさんのエッセイ。
『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』
タイトル怖いですが、内容は・・・・・・。
いや、口調が強い女風なだけで、とてもまともなことを言っています。
「このままでいいのだろうか、私は・・・・・・」と思っている方におすすめです。
それにしても現代を生きるというのは、まぁそう楽じゃない。
いやはや、どの時代も。