2016/07/02

ゴミ置き場から見える人々の無関心



私の住んでいるマンションは築40年以上のおんぼろで、小さな地震でもおそろしいほど揺れる。ズドドン、ズドドッ、ガチャンゴンと内部でなにかが崩落する音が毎日のように聞こえる。

ひょっとしたら上の階の住人がダンベルでもやってるだけなのかもしれない。でもたぶんちがう。真上には90歳くらいのおばあさんが一人きりで住んでいるはずだから。今さら鍛えだしたというのか?なくはない。最近の人は分からない。最近のおばあさんはあなどれない。とくに恋するおばあさんについては計りしれないものがある。それは恋するおじいさんよりすさまじいものがある。おばあさんにはとにかく謎が多い。

おばあさんはひとまず置いといて、マンションの話にもどろう。

ぼろいマンションだがゴミ置き場だけなかなか気が利いている。ゴミ置き場とは思えないほど清潔で(というのは常駐の管理人さんがこまめに清掃してくれているからなのだが、そして近年床が防水加工の白いぴかぴかのタイルに生まれ変わったせいもあるのだが)、分別も分かりやすいように色とりどりのワゴンがそれぞれ設置されていて、ゴミを捨てに行くのがなんとなく楽しいのである。

きれいなゴミ置き場だから利用するみんなもきれいに使おうと思っているにちがいない。いや、そうじゃないかも。そんなきれいな話じゃないだろう。たぶん管理人さんがじゃっかんこわもてなので、ゴミをへんなふうに出して怒鳴られやしないかビクビクしているだけだ。防犯カメラもついてるし。外部の人間ではなく住人が始終見張られている感がある。私はあんまり気にしないけど。

さて、このゴミ置き場、一番の見どころは燃やさないゴミのエリアだ。燃やさないゴミは指定の袋に入れて、設置してある80㎝×150㎝の水色のワゴンに出すことになっている。管理人さんの話では袋から多少はみ出してもオーケー。水色のワゴンに収まる大きさのものなら出してもよいとのことである。

みな管理人さんの言うことを聞き、それぞれに解釈して燃やさないゴミを出しにくる。燃やさないゴミといえば、私の場合、乾電池やカミソリや割れたグラスなどしか出した覚えがないが、まあみなさん出す出す。いろいろ出す。おいおいそれワゴンに収まってねぇじゃん!なんだその棒?袋からもワゴンからも半分以上はみ出してる!「収まってる」とはそもそもどうゆう状態のことなのでしょうか?スノーボード。もはやワゴンに入れる気なし。ワゴンの上にのっけてるだけ。蓋か?蓋代わりか?なぜワゴンに蓋をした?必要は?

他にも釣り竿、おしぼりあたため器、へんな派手なやたらかさばる電気の傘。そうゆうのはゴミのパンフレットに有料ゴミだって書いてあるっしょ。そんなもの回収してたら市は大赤字だ!

しかし無料で持って行ってくれる。マジで。どんな市だ。市がやってるんだよね?税金で。私はたいして払ってないけど。市の回収の人が狂っているのか?とりあえずトラックに積めりゃあいい、程度に思っているのか?

まあいい。ゴミとしてよそへ持って行ってくれるなら。自分のところがスッキリしていいじゃない。いいですよ。ほんとうに?

いいんですか?正気ですか?自分がよければいいってそんな・・・・・・。

ゴミが運ばれていくその「よそ」ってどこですか?

全体は?

地球は?

ちょっと待って。あんたたち、いくらなんでも捨てすぎでしょ。ぶっちゃけそれまだ使えるでしょ。あるいは人にゆずるとかしないのかい?リサイクルショップに売ることもできるかもよ?ヤフオクは?

めんどくさい?

なにが?

めんどくさい?生きるのが?

あなたが捨てているのは良心では?

いやいやそこまで言うつもりはないですけどね、ゴミ置き場でまだ使えそうなものが捨てられているのを見るたびに不安になりますよ。

しかし不安がってもしかたがないのでこんなふうに誰かに語りかけるふうな物言いはやめよう。不必要な敬語はやめよう。

ちくしょう!人間どもめ!もったいないおばけに喰われてしまえ!

そんなわけで神経症の私は楽しかったはずのマンションのゴミ置き場がおそろしくなってしまいゴミ置き場に入れず、ゴミを出せず、やがて私の部屋はゴミ屋敷となり、苦情・相談を受けた市の役員がゴミ撤去の説得をしに私のところへ来る、なんて日がそのうちやってくるのかもしれない。

そのとき私は希望通り廃人となり、やって来た市の役員にこうわめくのだ。
これらはゴミなどでは断じてないぞ!これらは苦悩の結晶だ!

ゴミを捨てるのがおそろしくなった私は、私自身をゴミにしてしまったのだ!

私自身がゴミなのだから、私にはもうゴミを捨てる義務はない!

捨てる権利もない!

それでも捨てたいというのなら、私を捨てろ!この私を捨てろ!

ついでにおまえもおまえ自身を捨ててしまえ!

自我など不要だ!じゃまくさいだけだ!そうだ、におう。自我はにおう。

自我こそがゴミだ!

分かったか、人間ども!!

捨てるんだ!さあ!!!

おやおや、完全にあっちの世界の話になってしまいました(#^_^#)